推拿ってなに?
推拿は知らなくても、按摩(あんま)なら誰でも知っているはず。
実は、按摩も推拿も元々は同じ伝統手技。
では、推拿と按摩はどう違うのでしょうか?
内容的にも違いがあるのですが、日本へ伝わる経緯に決定的な違いがあります。
元々、古くから日本には、で推拿も按摩も中国伝統手技として伝わり、按摩(法)という呼称で定着しました。
日本で、推拿と按摩に決定的な違いが出たのは、太平洋戦争終戦後。
4,000年の歴史を謳う中国伝統療法にとってはつい最近の話になります。
戦後の日本ではアメリカ占領軍政策のもと、古来日本の伝統療法は医療と見なされず、辛うじて鍼灸が国家資格として存続、按摩も同類のように取り扱われることに。
しかし、実際の按摩は、治療法としての手技というより、慰安・マッサージ的な要素の強い手技として認知され、更には、指圧のカリスマの登場などによりイメージが定着することになりました。
今では、看護師が行うドレナージュなど一部を除いて、国家資格でありながら整体などとあまり変わらないジャンルとして位置づけられています。
一方、中国における推拿も4,000年の歴史と共に順風満帆に発展してきたかと思いきや、そうではありませんでした。
やはり、西洋医学は中国にも波及。
古い医療から新しい医療へと姿を変えようとする中、1970年代に入り、中国は日本と違う動き方をしました。
中国では、伝統医療を西洋医学に取り入れようという「中西医結合」を提唱され、伝統医療の存続と発展を図ったのです。
中国では基本、推拿は医師が行う医療であり、多くの病院には推拿科が存在します。
そこでは、必要であれば西洋医学で行われるCT・MRIなど検査機器を活用しつつ、治療として臨床・研究が行われています。
この違いが、推拿と按摩の大きな差となって現在に至ります。
師匠である孫先生の計らいで、私は広州中医薬大学付属第一病院の推拿学会に参加させていただいたことがあります。
総勢140名が中国各地から集まっての学会でしたが、伝統的な技法や学説の研究報告から西洋医学を積極的に取り入れた臨床結果報告など様々な取り組みが紹介されました。
本当は、推拿も按摩も同じ伝統手技療法。
なのに、一方は町中や温泉の傍らで癒やし的に行うマッサージへ、もう一方は病院で治療とし多くの患者が受ける治療へと形を変えることに。
癒やしの効果は、推拿・按摩のとても大切な作用ですが、推拿には痛みの緩和や身体機能の改善など様々な効果があるからこそ、医療現場で治療として取り入れられているということも事実です。
こんな状況を見て、日本に推拿を伝えようとした方がいました。
その話は次回。
東洋医学は美容と健康に役立つエッセンスの宝庫。
でも、東洋医学(主に中医学)は漢字ばかりで難しそうなイメージが・・・
このブログでは、そんな方にもわかりやすいように、学問としての東洋医学ではなく、
実際の治療現場で目にしたり・自分が経験した事例を元に、東洋医学をご紹介します。
(化粧品業界で13年、治療現場で12年の私個人の意見も含みます。)
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