最近、お客様との話題で「認知症」について話すことが多くなりました。CMやニュースで「認知症になると預金などが凍結されるかも、、、」といった話題があるからでしょうか?
私自身も認知症について身に積まされる出来事が最近ありました。
少し前まで、通われていたお客様が認知症になってしまったからです。
原因は、転倒。転んで腰を痛めてしまい、寝たきりに。それからあっという間に認知症も発症してしまったそうです。
通院時は、お腹の調子も良くなり、血色も明るくなり、ご本人曰く「コロナで余計に出歩かなくなったから、ここまで歩いてくることがちょうど良い運動になって良かったわ。」とおっしゃっていたのに、、、ご家族様からもここに来ることを楽しみにしていたと伺いました。本当に残念で仕方ありません。ご家族様の介護によって少しでも快方に向かうことを願うばかりです。
注意すべきは、このお客様のように「寝たきりになって、あっという間に認知症を発症してしまった」という点です。「認知症」と普段の姿勢には、とても強い関連性があると思っています。
今回は、認知症と姿勢について考えてみましょう。「自分で簡単にチェックし、修正できる予防策」を紹介します。
普通の姿勢って?
上の図(右側)は、「良肢位」といって、人がとても過ごしやすい、動きやすい状態です。
赤ちゃんを想像してみてください。いつも、この姿勢をとっていますよね。赤ちゃんは寝ていても良肢位ですが、人はだんだん寝相は良くなってきて基本肢位(左側)になります。もちろん、立っている時も次第に基本肢位になっていきます。
でも、長時間立っている時はどうでしょう、どちらかの足が外を向いたりしませんか?いわゆる、「休め!」の姿勢です。これは、言葉通り休んで楽になるためのものです。実は、基本肢位はとても体力のいる姿勢なんです。
基本肢位と良肢位はONとOFFの関係にあるという事がわかります。人は無意識のうちにON・OFFのの姿勢を取れるようになっていきます。つまり、普通の姿勢とは基本肢位と良肢位の間で無意識にとる姿勢です。
無意識が生み出すもの
さて、赤ちゃんはこのONとOFFの動作を何度も何度も繰り返します。そうすることで、体全体を刺激して成長を促しています。子供の時、起きたら布団と全く違うところで寝ていたなんてことも、成長期ならではの事です。
では、大人はどうでしょう?気がつくとずっと同じ姿勢でいませんか?しかも、、だんだんとONの状態でいることが辛くなり、楽な姿勢しか取れなくなっているような、、、成長する必要がないのですから、当たり前のことかもしれません。しかし、これでは体への刺激はあまりありません。この体を動かす頻度の減少と楽な状態への変化は体、特に脳への刺激を意味します。
刺激=感覚
人は、常に多くの刺激をとらえながら生活しています。やはり、急成長の必要は赤ちゃんは忙しい。姿勢も絶えず変化させますが、他にも手でいろんなものを触ったり、なんでも口に入れたり。とにかく、あらゆることをして体を刺激します。この膨大な刺激は感覚として、脳に伝わり、脳を活性化して成長を促します。
ところで、人の体の感覚には2つの種類があるのをご存知ですか?1つは「表在感覚」、もう一つは「深部感覚」です。「表在感覚」は触れた感じや痛み、熱い。冷たいなどの感覚。つまり、体の表面で感じる感覚です。「深部感覚」は動きや揺れを感じたり、目を閉じても自分の鼻の場所がわかるような位置感覚があり、これらは筋肉・腱・関節で感じる感覚です。
ですから、普段の姿勢の状態で自分が刺激を受けているという感覚が無くても、筋肉や関節は刺激を感じ取り、深部感覚として脳に伝えているのです。
もし、その刺激が少なかったなら、、、脳の活性も低下することになります。私たちの生活はどうでしょう?何時間もテレビやパソコンを見ていたり、スマホに長い時間集中したり、長時間運転していたり。ずっと同じ姿勢を撮ることが多くなっているように思います。寝たきりなど、特別な状態になってしまったら、なおのことです。
すっと同じ姿勢で、脳の活動が低下、それが認知症のきっかけになってもおかしくないのです。
予防策は?
私たちは、次第に自分の体にとって楽な姿勢をとるようになっていきます。気がつかないうちに、自分の体が変化していきます。例えば、背中が丸くなったり、ストレートネックになったり、反り腰になったり、人によって様々です。(最近、多いなと思うのは巻き肩です。スマホのせいかもしれませんね。)
認知症の予防策としては、楽な姿勢に変化した体を基本姿勢に戻そうとを意識することが大事です。
それには、自分の体がどう変化しているか知らないといけませんね。では、どうやって調べるか?
次の通りやってみてください。
・自分の背中を壁につける
・同時に踵も壁につける
・同時にお尻も壁につける
・同時に肩甲骨(肩の先)も壁につける
・同時に頭も壁につける
どうでしょう。それが本来のあなたの基本姿勢です。全然違いませんか?そして、キツイ、、、
この時、辛い場所が変化した場所です。(反り腰の場合は、腰と壁の隙間に自分の拳が入ったら反り腰です。普通はパーで入るくらいです。)
辛いところだらけで、わからない!という方は、まずは治療しにいらしてください、、
場所がわかったら、普段からその場所を動かしたり、固まっていないか意識するだけでかなりの予防となります。(無意識や癖で変化しまうことが多いのですから)
ただし、気を付けてほしいことが一つあります。このようなアドバイスをすると基本姿勢でないとダメだと思いがちですがそうではありません。(治療家でもそう教える方がいますが、)基本姿勢に戻すことが大事なのではありません。基本姿勢と楽な姿勢との無意識の動きの変化による刺激が重要なのです。基本姿勢を意識することは、楽な姿勢と差ができるからです。
姿勢は年齢や性別、健康状態、環境、生活習慣によって大きな影響を受けます。その影響によって姿勢の「基本」は変わるのです。東洋医学では、姿勢のON・OFFの変化を陰陽もしくは気血の状態・バランスに照らしながら考え、施術します。そこが、ストレッチや整体などと大きな違いになります。
何気ない無意識が体を悪くするのと同じように、ちょっとした意識が体を良くすることがあります。姿勢は、まさにその一例といえます。これは認知症に限ったことではありません、心身の疲れや鬱にも当てはまることです。自分の体に労りの目を向けてあげる、そんな小さな試みでも自分の体は応えてくれるものです。そう信じて、ぜひお試しください。
東洋医学は美容と健康に役立つエッセンスの宝庫。
でも、東洋医学(主に中医学)は漢字ばかりで難しそうなイメージが・・・
このブログでは、そんな方にもわかりやすいように、学問としての東洋医学ではなく、
実際の治療現場で目にしたり・自分が経験した事例を元に、東洋医学をご紹介します。
(化粧品業界で13年、治療現場で12年の私個人の意見も含みます。)
きっと、あなたの美容や健康にお役立ていただけるはずです。
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