先日、施術後にお客様から「おかげさまで、元気になりました。」という言葉をいただきました。
「おかげさま」
元々、神仏の加護の意味で「御蔭」が語源のようです。
私が気に留めた「おかげさま」という言葉には、東洋医学ではとても重要なキーワードが含まれています。
「陰」と「陽」
世界の全ては、この陰陽のバランスで成り立っていると考えられています。
当然、人も同じです。
人の陰陽は、男と女、若年と老年、頭と足、お腹と背中、右と左などなど様々な陰陽で表されます。
そして、健康な状態はこの陰陽がバランス良く保たれた状態と言えます。
今回は、陰陽のバランスが取れていないことによる症例をご紹介します。
腿の付け根が張って足がだるい・疲れやすい
このお客様は、2ヶ月くらい腿の付け根が詰まったようなダルさを感じるとの事で来院。
他にも、肩や首、背中や腰も張った感じがして、胃もつかえる感じを訴え、鼻も詰まって、便秘気味と身体中全てのつまりを感じている様子でした。
原因は何なんでしょう?
確かに、背中も腰も、肩や腕 どれもすごく張っています。
でも、一番気になるのは、会話からたくさんのことにイライラしている様子。
仕事のことや自分の病気のこと、家族のことなどなど。
陰陽において、イライラは「気」を滞らせたり、傷つけたり、消耗させたりします。
また、イライラすることで「陽」が強くなりすぎると体が張りやすく、「陰」が強くなりすぎると体が萎びてしまいます。
この場合はどうでしょう?
明らかに、「陽」が強くなり過ぎています。本来はそうでないのに、怒りっぽくなったり、声を荒げてしまったりしてしまいます。
しかし、ずっとイライラしていることもパワーがいるので、ある程度のところでスッと「陽」が消えて落ち込んでしまうことがあります。
気分の浮き沈みが大きいと、心療内科に通うケースも少なくありません。
「陽」が強いと「気」が上がりやくすなります。つまり、「気」が上半身に集まり溜まっていくようになります。すると、頭や首、肩や背中などが張りやすくなります。反対に、腰や足には「気」が不足するために、ダルさや倦怠感が出やすくなります。
気傷痛
気が傷つくと痛くなるという意味
「陽」が強くても、「陰」が強くても「気」が傷つきます。
「気」は怒っても、喜んでも、思い詰めても、悲しんでも、驚いても、その度合いが過度になってしまうと傷つきます。
しかし、多くの方を診ていて、自分の気持ちをコントロールすることはとても難しいことです。
推拿は気の巡りを良くして、気の偏りを解消します。
お腹にも背中にも、人の体を縦に通る「経絡」が存在し、これを上手く活用することで上に溜まってしまった気を下に下ろします。
この場合も、推拿で足腰に気が巡るように感じていただけました。
でも「陰」の場合のように気が消耗してしまう時はどうするの?と思いますよね。
この場合の方法はいくつもあるのですが、良い方法は全身で使われてしまっっている「気」をお腹に戻してあげることです。
お腹は「気の海」
昼間に全身を巡り活動していた気は、就寝とともにお腹に戻っていきます。
お臍の下には「気海」というツボもあるくらいですから。
お腹を推拿すると、気がお腹に戻り気が落ち着き、気の消耗を減らすことができます。
自分で、横になった時、お風呂に入っている時、落ち着きたい時におへその辺りに両手を添えるだけでも気が落ち着くようになります。
陽が強くても、陰が強くてもどちらにも良い方法です、ぜひ、試してください。
東洋医学は美容と健康に役立つエッセンスの宝庫。
でも、東洋医学(主に中医学)は漢字ばかりで難しそうなイメージが・・・
このブログでは、そんな方にもわかりやすいように、学問としての東洋医学ではなく、
実際の治療現場で目にしたり・自分が経験した事例を元に、東洋医学をご紹介します。
(化粧品業界で13年、治療現場で12年の私個人の意見も含みます。)
きっと、あなたの美容や健康にお役立ていただけるはずです。
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